京都大学フォトニック結晶レーザー研究所
京都大学で生み出された『フォトニック結晶レーザー(PCSEL)』技術を、産業界へと橋渡しし、超スマート社会Society5.0の実現に貢献することを目指します。
小型・安価で高効率な半導体レーザーは、これまで、波長範囲の拡大や変調速度の向上が図られ、光通信・光記録や照明等の分野を中心として、社会に大きく貢献してきました。一方、スマートモビリティーやスマート製造をはじめとする、高出力と高ビーム品質の両立が求められる分野への応用においては、従来の半導体レーザーは、出力の増大を図るために出射面積を拡大すると、ビーム品質が劣化するという課題を有しており、CO2レーザーやファイバーレーザーなどの大型レーザーに遅れをとっています。さらに、従来のレーザー(半導体レーザーも含めたすべてのレーザー)は、オンチップでのビームパターンや偏向・出射方向の制御が困難であり、外部の光学素子が必要とされていました。
1999年に京都大学で発明されたフォトニック結晶レーザー(PCSEL)により、今、パラダイムシフトが起ころうとしています。PCSELは、フォトニック結晶を共振器として用いた新たな半導体レーザーであり、高出力かつ高ビーム品質(すなわち、高輝度)動作が可能という特徴を有しています。さらに、ビームパターンの制御や、オンチップでのビーム出射方向制御など、他のレーザー単体では実現困難な機能性をも実現可能です。このような特長から、大きな注目を集めています。
京都大学では、PCSELの研究開発の拠点として、2020年に、フォトニック結晶レーザー研究拠点(PCSEL-COE)を設立し、様々な研究開発を行ってきました。本研究所は、こうした研究拠点における研究開発成果を、企業の皆様へと橋渡しするべく、2024年12月に設立されました。今後、PCSEL-COEとも密接に連携しながら、世界中のニーズに応え、イノベーションの機会を増やし、PCSELの社会実装を加速させることを目指していきます。